「ハズレたのは選手のせい」は本当か|競輪選手へのSNS誹謗中傷と選手会声明を考える

2026年6月、日本競輪選手会がSNS上の誹謗中傷・脅迫投稿に対し声明を発表しました。車券を外した怒りを選手にぶつける心理はなぜ生まれるのか、それがなぜ危険なのか、そして競輪を長く楽しむために私たちができることを、賭け手の視点から競輪ナビ編集部が考えます。
取材担当車券を外した瞬間、頭に血がのぼる——賭けたことのある人なら、誰でも分かる感覚だと思います。
編集長だが、その怒りを画面の向こうの選手にぶつけたとき、何が起きるか。2026年6月、日本競輪選手会が異例の声明を出した。「選手への誹謗中傷は看過できない」とね。
取材担当これは、賭け手である私たち一人ひとりに向けられた問いでもあります。
この記事の立場(タップで開く)
本記事は特定の投稿・人物・事案を名指しして論じるものではありません。選手会の公式声明という事実を起点に、賭け手の側から「健全な楽しみ方」を考える読み物です。引用は公表された声明の趣旨に基づきます。車券は20歳未満購入禁止、投票は自己責任です。
選手会が声明を出した、という事実
まず、起きたことを正確に押さえておきたい。2026年6月、日本競輪選手会は「ファンの皆様に対するお願いについて」とする声明を発表した。
内容の骨子はこうだ。SNSやインターネット掲示板上で、競輪選手に対する誹謗中傷や、危害を加えることを示唆する脅迫的な投稿が確認されている。選手個人やその家族への人格攻撃、事実に基づかない悪質な投稿、生命・身体への危害を示唆する言動は容認できない——。そして、特に悪質な事案については、顧問弁護士や関係機関と連携し、警察への通報や法的措置を含めて厳正に対応する、とした。
団体がわざわざ公式声明を出すというのは、それだけ状況が見過ごせない段階に来ていたということだ。声明は「公営競技に対する信頼にも関わる」とも述べている。これは単なるマナーの問題ではなく、競技そのものの土台に関わる話なのだ。
「ハズレたのは選手のせい」という心理
ここからは、賭け手の側の心理を正直に見つめてみたい。誹謗中傷の多くは、車券を外した怒りと地続きになっている。
負けると、人は原因を外に求めたくなる。「あの選手が仕掛けなかったから」「わざと負けたんじゃないか」——。自分の予想の甘さより、選手の走りのせいにするほうが、心は楽になる。この心理自体は、人間として自然なものだ。問題は、その感情を"どこに、どうぶつけるか"にある。
Aさん正直に言うと、大金を突っ込んで外したときは「ふざけるな」って気持ちになる。あの一瞬の脱力感、分かる人には分かると思う。
編集長その気持ちは否定しない。私だって外せば悔しい。だが、その怒りは"自分の賭け方"に向けるべきものだ。選手個人の人格や家族に向けた瞬間、それはただの八つ当たりを超えて、加害になる。
冷静に考えれば分かることがある。八百長を疑うような投稿の大半は、何の根拠もない。選手は失格や不正に対して極めて厳しいルールの下で走っている。「思い通りにならなかった=不正だ」は、まったく成り立たない論理だ。それはただ、自分の予想が外れたという事実を、認めたくないだけなのだ。
選手も、真剣勝負をしている
忘れてはならない前提がある。バンクを走る選手たちは、一走ごとに身体を危険にさらしている、ということだ。
競輪は時速70キロ近い速度で、ノーブレーキの自転車がぶつかり合う競技だ。落車は日常的に起こり、大けがや、時に選手生命を左右する事故もある。その最前線で、選手は生活を懸けて走っている。番付が下がれば収入は減り、成績が悪ければ引退が近づく。誰よりも「勝ちたい」と思っているのは、車券を買った私たちではなく、走っている本人だ。
このことを踏まえると、「わざと負けた」という決めつけが、いかに現実離れしているかが見えてくる。真剣に走った結果としての敗戦を、不正だと断じる。それは、命がけで戦う相手への、最も失礼な言葉ではないだろうか。
誹謗中傷は、賭け手自身の首を絞める
もう一つ、賭け手にとって切実な視点がある。選手への攻撃は、めぐりめぐって競輪ファン全体の楽しみを削っていく、ということだ。
選手が萎縮し、SNSでの発信をやめてしまえば、ファンが選手を身近に感じる機会は減る。若い才能が「こんな世界には行きたくない」と競技を敬遠すれば、レースの質そのものが下がる。そして、公営競技への信頼が揺らげば、業界の存続にも関わる。声明が「公営競技に対する信頼にも関わる」と述べたのは、まさにこの連鎖を指している。
健全なファン文化が、競輪を強くする(タップで深掘り)
怒りとの、賢い付き合い方
では、外れたときの怒りをどう処理すればいいのか。感情を消せとは言わない。ただ、向ける先を変えるだけで、競輪はずっと楽しくなる。
外れた悔しさを、次の予想への燃料に変える。これができる人が、結局は競輪を長く、健やかに楽しめる。賭けは自己責任であり、その責任は選手ではなく、賭けた自分にある。当たり前のようで、熱くなると忘れがちなこの原則を、もう一度胸に刻んでおきたい。
まとめ|画面の向こうにも、人がいる
選手会の声明は、私たちに冷静さを求めている。バンクを走るのは、感情を持った一人の人間であり、その背後には家族がいる。車券を外した怒りは本物でも、それを人格攻撃や脅迫に変えていい理由にはならない。
競輪を愛するなら、選手を尊重することは、そのまま自分たちの楽しみを守ることでもある。予想を磨き、良い走りに拍手を送り、負けても次に賭ける。その健全な熱こそが、この競技を支えている。予想の質を上げたい人は、編集部が実際に検証した優良予想サイトのまとめも参考にしてほしい。
本記事は選手会の公表声明を起点にした編集部の読み物です。特定の投稿・人物・事案を名指しするものではありません。車券は20歳未満購入禁止、投票は自己責任です。















